デンチャー(部分義歯)

いろいろな装置を利用することで十分に噛め、より自然な外観、少ない違和感のパーシャルデンチャーを製作しています。失った歯を作る上で手術を避けたい、そのうえで見た目にも良く、しっかり噛みたいといった希望の方にはおすすめの方法です。
 
維持装置(デンチャーの支えとなる装置)の種類と特性
テレスコープ
テレスコープシステムとは,維持歯と床を強固に連結する手法として二重冠を支台歯とした補綴手法である.その中の代表的なコーヌステレスコープは1970年代ケルバーによって考案され,リジットサポート理論を裏付ける維持装置として臨床応用されてきました.
 
AGCテレスコープ(AGC telescope)
メタルフレームを電気によって鋳造“電鋳”する製作システム、エレクトロフォーミング法が開発され,このシステムによって製作される純金のキャップがAGC(Auro Glva Crown)です.このAGCをテレスコープ外冠の内張として使用しますが、これによって従来の製作法によるテレスコープと比較し、内外冠の嵌合の精度は格段に向上しています
 
利点
1,二重冠方式で残存歯にしっかり固定されるので、良く噛めて粘膜部の痛みなどが少ない
2,クラスプ(バネ)式ではないので、見た目にによく、異物感が少ない
3,他の維持装置に比較し,歯肉に対しての為害性が少なく、清掃がしやすいので.歯槽膿漏になりにくい
 
AGCテレスコープで治療した例
治療前
治療前は噛まれるときに顎が右にずれ込み噛みにくさを訴えていました。
  AGCテレスコープデンチャー
いろいろな装置を利用することで十分に噛め、より自然な外観、少ない違和感のパーシャルデンチャーを製作しています。失った歯を作る上で手術を避けたい、そのうえで見た目にも良く、しっかり噛みたいといった希望の方にはおすすめの方法です
 
治療後

右上犬歯部にはインプラントを植立することによって新たな支えができ、顎の右へのずれ込みがなくなり、加えて、動かないテレスコープデンチャーでたいへんよく噛めるようになったとのことでした。

歯冠外アタッチメント
治療前
 
 

治療前は、すれ違い咬合といって、上下の歯の噛み合わせがない状況に陥り、噛めない不自由さを訴えられていました。

左図は、アタッチメントデンチャーのシェーマで、この維持装置を使うことで審美性・機能性など、種々の利点があります。

 治療後
 
 

女性の方でありましたので、外観上自然な見かけになるように、また動きの少ないデンチャーにすることで、良好な咬合(噛み合わせ)をつくることができました。

 

 

 

少数残存歯、残りの歯が少なくなった例に用いられます。クラスプ(バネ)を設置するより,根面のアタッチメントや磁石によるくっつきを利用してデンチャーを作製した方が支持の強度や審美性などの点で有利な場合が多いのです。

治療前

治療前は虫歯の放置、歯並びの悪さなどで悲惨な状態にありました。
治療後
 
上顎に磁性アタッチメント、下顎に根面アタッチメントを利用することで 審美的で、清掃性が良く、良く噛めるデンチャーとなりました
バーアタッチメントを維持装置としたインプラントデンチャー
下顎無歯顎(下あごの歯がすべてなくなった例)で歯茎が吸収してしまった例では,義歯の安定を得ることが非常に難しく思うような食事ができないとのことでした。そのような場合は下顎の前方部に2~4本のインプラントを植立し,バーでつなぎ、それを支えにデンチャーをつくります。これによって、噛める度合いは格段にアップします。また、デンチャーが動かず、歯茎にあたることも少なくなります。多くの症例で長期に安定しています。
治療前
 
初診時の状態は、下顎無歯顎部顎堤の吸収が著しく、咀嚼時には義歯が左内方に滑り込んで、良く噛めない状況にありました。 
治療後
 
下顎前方部にインプラントを植立し、その上部のバーアタッチメントの支えによって、また、上顎はテレスコープによってしっかりとしたデンチャーになり、治療後の咀嚼の回復には患者さんの高い評価を得ることができました。
ボールアンカーを維持装置としたインプラントデンチャー
治療前
 
  この例では2本のインプラント上部の維持装置にボールアンカー(ボタンのホックのような形状)を装着し、少ないインプラントに加えシンプルな構造ですが、インプラント周辺の歯肉もキレイに保たれるなど利点の多いインプラントデンチャーです。
 
治療後
 
パーシャルデンチャーの維持装置の種類や特徴を挙げながら臨床例をみていただきましたが、現在はいろいろな装置が発案されています。患者さんの歯列にどの方法が最も適した治療なのかを検討して、治療方針をご提案いたします。
 

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